現男子グローバルチャンピオン 福田穣氏 スペシャルインタビュー

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Wings for Life World Runの男子グローバルチャンピオンに3回輝いた経験を持つ福田穣氏が "世界最大のチャリティーランイベント" の魅力を語ってくれました。

── Wings for Life World Runに初めて参加したときを覚えていますか?

覚えています!

"フィニッシュラインが追いかけてくる" レースフォーマットに対して「面白そう」と軽い興味を持ち、参加登録をしました。

フルマラソンとは違い、鬼ごっこのようなレースフォーマットですので、自然と走る距離が長くなります。初参加時の会場はアップダウンが多いコースだったので、50km付近で脚が重くなっていったのを覚えています。

── その初参加で約64km走って優勝されました。

そうですね。ですので、脚が重くなったあとも14kmほど走れました(笑)。

脚が少し痛くなってきたタイミングで「そろそろやめようかな」と思いましたが、ちょうどその時に周りの人が「いま世界トップだよ!」と教えてくれたんです。

ランニングイベントにちょっと参加するだけのつもりでしたが、中継でも取り上げられるようになり、「あれ、思っていたのと違う… これは雰囲気的にやめられないな」と思い、走り続けました(笑)。

途中で脚をほぐしたりしたので、順位が8位まで後退したときもありましたが、アドレナリンで疲労感が麻痺したのか、後半必死で走り続けていたらキャッチャーカーに追いつかれる数分前に逆転して、世界1位に返り咲きました。

止まってかなりロスしましたし、「もう無理」と思った50km付近ではあそこまで走れるとは想像もしてなかったので、優勝したと分かったときは本当に驚きました!

── 翌2023年には連覇を達成しましたが、何か “秘訣” があったのでしょうか?

「絶対に優勝して連覇するぞ!」という気持ちで練習量を増やしていましたが、日本縦断企画や別のチャレンジを進めていく中で脚を痛めてしまいました。思うように練習ができず不安もありましたが、「前回はほぼ練習なしで勝てたし、今年も何とかなるだろう」と開き直って当日を迎えました(笑)。

本番では、60km過ぎから一気にキツくなり、「連覇は難しいかも…」と思う瞬間もありましたが、ラストスパートで逆転してなんとか優勝できました。

練習不足だったので厳しいレースでしたが、「どうしても勝ちたい」という気持ちで脚を動かし、走りきりました。

── 次の2024年は、3連覇を狙う絶対王者としてオーストリア・ウィーンのフラッグシップランから参加しましたが、心境はいかがでしたか?

アプリのバーチャルキャッチャーカーではなく、本物のキャッチャーカーが追いかけてくるフラッグシップランでの参加でしたが、いま振り返ると、周囲からの期待やプレッシャーで、少し冷静さを欠いていたと思います。

── 具体的に振り返っていただけますか?

オーストリアではライバルが近くにいる状況だったので、自分の走りに集中できませんでした。

私は、Wings for Life World Runでは "自分のペースでいかに走り続けられるか" がカギになると思っています。自分との戦いに徹して、機械のように淡々と走るのです。ですが、あのときはライバルを意識しすぎて、マラソンレースと同じように "駆け引き" をしてしまいました。強いライバルがいることも聞いていたので、前半から無駄にペースを上げ下げしてしまったのです。

結果的にグローバルチャンピオンになれず、優勝を逃す悔しさを痛感しました。

── その悔しさをバネに2025年は再び優勝し、さらには世界記録も更新されました。自信はあったのでしょうか?

2025年はレース前からかなり自信がありましたね。練習もしっかり積んで臨みましたし、「今回は間違いなく誰にも負けないだろう」と思えていました。

実際のレースでも狙い通り順調に距離を伸ばせましたし、早い段階で「去年の世界記録も更新できる」という手応えがありました。

──2024年のようなプレッシャーは感じていましたか?

2025年は周りのことを気にせず「絶対勝つ!世界記録も更新する!!」という強い覚悟で臨みました。

実は、Wings for Life World Runをウルトラマラソン100kmの世界記録に挑戦するプロジェクトの一環として位置づけていて、ウルトラマラソンの世界記録更新ペースで走れれば、Wings for Life World Runの世界記録も必ず更新できるし、優勝もできるという想定をしていました。

具体的には、1kmを3分34秒で走るペースを維持できれば、70km以上走って世界記録を更新できるという計算でしたね。

──レース戦略もしっかり用意されていたのですね。

レース終盤、私以外の全参加者がキャッチャーカーに追いつかれて、私しか残っていないと聞いたあとは、「あとは自分との戦いだ。どこまで記録を伸ばせるかやってやろう!」という気持ちでした。

最終的に71.67kmまで走ってグローバルチャンピオンになれましたし、記録更新もできました! ですが、実は途中でトイレに1回寄ったので、そのロスがなければもうちょっと走れたかなと思っています(笑)。

──トイレに寄って優勝ですか!?

実はこれまで参加したすべてのWings for Life World Runでトイレ休憩を取っていて、東京から参加した2022年は2~3回行っています。

オーストリアで走ったときも色々な人に「信じられない!」と驚かれましたね(笑)。

次回はトイレ休憩なしで "72km超え" に挑みたいです!

──Wings for Life World Runの魅力を教えていただけますか?

フィニッシュラインがないので、自分次第でいくらでも挑戦の幅を広げられるところですね。

楽しく走りたい人は楽しく走れますし、走りたい距離を目標にして、目標達成後は散歩気分で続けてもOKです。もちろん、私のように限界まで自分を追い込んで、どこまで走れるかチャレンジすることもできます。

人それぞれの楽しみ方ができるのがWings for Life World Runの一番の魅力ですね!

また、大人数でスタートしたあと人数が徐々に減っていき、最後に自分だけ走っているというのは不思議な感覚で、普通のマラソンレースではできない体験ですね。

毎年、レース前半は後輩が「ランナーが通ります!」「避けてくれると助かります!」などと周囲に声をかけて誘導してくれています。東京で走った年は、プロマウンテンランナーの上田瑠偉さんが「自分がリードします!」と言ってくれて、とても有り難かったです。

──ランナー同士で助け合えるのも魅力のひとつですね!

そうですね! ライバルや参加者の皆さんが、キャッチャーカーに追いつかれたあと応援に回ってくださるのはユニークな魅力のひとつです。

「世界記録狙えるよ!」と声をかけてくださったり、給水のタイミングで少し一緒に走ってくださったり、多くの方が最後まで応援してくれるので、いつも本当に力になります。

このような参加者同士の一体感はWings for Life World Runならではと思います。

──Wings for Life World Runに参加し続ける理由をお聞きかせください。

レースが終わった瞬間に世界中の人から数多くのメッセージをいただけるのがとても嬉しいです。車椅子ユーザーの方々から「面白くてエキサイティングなレースだった」と言っていただけるのは特に嬉しいですし、達成感が倍増します。

「面白そうなイベントがある」と思ったのが参加のきっかけでしたが、初優勝したあと、本当に多くの方々から応援や労いの言葉をもらえたことにとても感動したので、現役を引退したあとも、Wings for Life World Runが存在する限りは毎年参加しようと決意しました。

──福田さんがきっかけで参加する人も増えるのではないでしょうか。

ありがたいことに、そういう方が増えてきています。

初参加した年の福岡の会場はまだ小規模でしたが、去年は福岡の会場に何百人も集まったので、「こんなに沢山の人と一緒に走れる!」と感動しました。参加ランナーが増えていることがとても嬉しいです。

Wings for Life World Runの認知度をもっと高めて、参加人数を増やすことを自分の課題のひとつにしているので、そのためにできる限りのことをやっていきたいと思っています。

──最後に、世界へ向けてメッセージをお願いします!

世界中のトップランナーには、Wings for Life World Runに毎年参加していただきたいです。みんなで本気で競い合って盛り上げていきましょう!

記録はどんどん更新していただきたいですし、自分も負けないように全力を尽くします。私たちの切磋琢磨がイベントの注目度を高めて、全体の盛り上がりに繋がると思います。

「次は誰が世界一になるのだろう?」という興奮を世界中の人に届けながら、少しでも多くの支援と勇気を一緒に生み出せていければ嬉しいです!

福田穣氏プロフィール

福岡県出身のプロランナー。2022年ゴールドコーストマラソンにて優勝。『Wings for Life World Run』では3度世界王者に輝く。2025年大会で記録した71.67kmは同大会の世界最高記録。

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